魔法使いの弟子の見習い書記官の「研究手帖」
"Himeji Extra3 Commentary"
「『十ニ国記』山田章博原画展(2025)」Extra3 雑考
<草案 2025/10/28 → 最終更新 2026/05/31>
≪はじめに≫
2025年秋に兵庫・姫路文学館で開催された「『十ニ国記』山田章博原画展(2025)」[01]では、タイトルに冠された「十ニ国記」関連の展示以外に、その後まもなく画業45周年を迎える事となる山田章博先生の作品の数々を、ダイジェスト的に紹介するコーナーが設けられていました。それが、第2会場の最後に登場した「Extra3 Manga & Illustrations」[02]。
「十二国記」が主題となる原画展の中では、当然ながらおまけでしかないこのコーナー「Extra3」でしたが、眺めていると「はて、数ある山田先生の作品の中から、なぜこの絵が飾られる事になったのかしら?」と、ちょっと考え込んでしまう画稿もちらほら。果たしてこれらの絵は、いかなる意図の下に配置されていたのでしょう? そういったあたりも気にしながら、展示された作品にまつわるあれこれについて、とりとめもなく雑考を重ねてみたいと思います。
初音むつな
(魔法使いの弟子の見習い書記官)
□ Manga01「おぼろ探偵帖」
(◇Mostra di illustrazioni:幻冬舎版 装画(2016))
(◇Mostra di manga①:「漫画夢の博物誌」① P22-23(1990)/幻冬舎版 P22-23)
(◇Mostra di manga②:「漫画夢の博物誌」⑤ P24-25(1990)/幻冬舎版 P100-101)
「Extra3」の展示は、おおまかに「Manga」と「Illustration」に分かれていましたが、このうち「Manga」コーナーの最初に配置されていたのは「おぼろ探偵帖」でした。導入部にパネル「『十ニ国記』イラストについて 小野不由美への十問十答」[03]が配置されていて、これを読むと小野先生が「おぼろ」を愛読されていたという事がよくわかります。「十ニ国記」から山田先生の漫画作品への橋渡しとしては、確かに「これしかない!」という感じ。
さて、展示された本編原稿の最初の2枚は、第一話「東京宵闇三途恋塚」のものでした(新装版単行本P22-23)。喰いつめ者の貧乏文士と売れっ子芸者の織りなす怪談話で、小野先生の愛読書という由縁がなくとも、「文学館」で展示されるにふさわしい内容の一作と言えましょう。ちなみに新装版単行本のP22にあたる漫画原稿上では、「お金?いいのよ 遊んでらっしゃいな」という小すゞ姐さんに応える形で、瀧田くんにもセリフ用のフキダシが用意されていた痕跡が見てとれました。このフキダシは画稿上でベタ消しされて、宵の大川の水面の闇わだに沈んでしまっていたので、青年文士がどんな言葉を返したのかは判然としません。しかし愛すべき瀧田くんの事ですから、きっとつまらない科白をのぼせていて、山田先生に「つまらんなあ」と消されてしまっていそう――こうした執筆時の呻吟の様子が垣間見れるのは、アナログ画稿の原画展ならではのお楽しみですね。
「おぼろ探偵帖」からは、続いて第三話「百物語後日返報」の本編原稿も2枚展示されていました(新装版単行本P100-101)。こちらは物語のどんでん返しに当たる、作中でも特に主人公・夜雀がカッコいい場面。この第三話には、姫路とは「天守物語」で縁のある泉鏡花先生が登場するのですから、姫路文学館的にはそちらを押し出してもよかったのでは?と思わなくもありませんが、まあそれではあまりにベタすぎるというところでしょうか。というわけで、残念ながら今回は山田版の鏡花先生にはお会いできませんでしたが、ともあれ、土佐の民話の世界からはるばる明治東京にやって来た夜雀[04]が、文芸の世界から漫画の世界に越境してきた泉鏡花と出会う、という多層的な作品形成の有り様は、やはり山田漫画の魅力のひとつでありましょう。
なお、「おぼろ探偵帖」が描かれる苗床となった作品群は、新装版単行本巻末の「おぼろ雑想帖 解題」のほか、同じく単行本描き下ろしの「明治東京物怪図録」で詳しく紹介されています。そこでいくつか挙げられる新東宝系の怪談映画の中から、特にピックアップされているのが昭和32年(1957年)公開の「怪談本所七不思議」[05]。こちらを「おぼろ探偵帖」とあわせて観れば、山田先生の手になる<映像作品から漫画作品へ>というイメージの還流の様子が、なんとなくうかがえる事になります。流行りの動画配信などにはなさそうですが、DVD化はされていますので、機会があればぜひ可憐な長兵衛狸をご確認あれ。
【参考】「おぼろ探偵帖」バーズコミックススペシャル/幻冬舎コミックス(2016)
https://www.gentosha-comics.net/book/b518554.html
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□ Manga02「人魚變生」
(◇Mostra di illustrazioni:幻冬舎版 装画(2015))
(◇Mostra di manga:「ZOO」Vol.3 P83(1979)/「ALLAN」第7号 P111(1981)/幻冬舎版 P33)
続いて「Manga」コーナーに展示されていたのは「人魚變生」。この作品は、同人誌「ZOO」に掲載されたのち、商業誌「ALLAN」に転載――という由緒書きを持つのですが、実は雑誌「ALLAN」掲載時にかなり原稿に手が加えられています[06]。今回姫路文学館で展示されていたページ(新装版単行本P33)については、絵はそのままに、フキダシの中の手描き文字が書き換えられている様子を見て取る事ができました(手描き文字の入った紙片が漫画原稿上に貼られていました)。特にわかりやすいのが「風だ!」の文字。雰囲気が、同人誌版と雑誌版(すなわち単行本版)ではかなり違っています。若き日の山田先生が、より作品に適した表現を模索する過程を追うようで、こうした変遷が確認できるのもやはり原画展ならではですね。なお、1982年3月に刊行された同人誌「えけれしゃ」Vol.1[07]によると、「人魚變生」のフキダシ内の手書き文字については、雑誌掲載時に写植化される計画もあった模様(同誌P7)。そんな風に手が加えられていたら、またかなり作品全体のイメージが変わったのだろうなと推測されるところです(ちなみに同じく同人誌「ZOO」から商業誌に転載された「魔法使いの弟子」では、雑誌「FUSION PRODUCT」掲載時にセリフ等が写植化されているのでした)。
さて、山田先生のデビュー作といえば、当然ながらはじめて商業誌に掲載された「ぱだん ぱだん padan padan」という事になるわけですが、1979年5月刊の同人誌「ZOO」Vol.3に掲載され、70年代末の関西同人誌シーンに衝撃を与えた(と伝え聞く)「人魚變生」の方が、実はデビュー作と呼ぶに相応しいと思われる向きもいらっしゃる事でしょう。「ZOO」Vol.3は、のちに雑誌「ぱふ」1979年11・12月号の「特集 全国まんが同人誌地図」に見開きで取り上げられ(同誌P108-109)、山田章博の絵とその名は、関西のみならず全国のまんが愛好家の目に止まる事となりました。中京地区を拠点として活躍したサークル「JetPlopost」の1980年11月刊の同人誌「SOOKUN BUS!」では、山田先生の紹介として「もう知らない人はいない関西の勇」(同誌P38)とあったり、1980年8月に東京で開催された同人誌即売会「まんが・ミニ・マーケット・1」(のちのMGM)のプログラムなどでは、サークル参加していない「ZOO」に2ページも紹介記事が割かれるような注目具合(同誌P17-18)。そこでは山田先生を評して「職業作家にならず、同人誌の至宝となって欲しい」と記されているのですが、そうした観点から言えば、同人誌時代の作品がほぼそのまま商業誌に掲載され、さらに単行本で現在も読む事ができる「人魚變生」や「魔法使いの弟子」といったこの時期の作品群は、<同人漫画から商業漫画へ>という越境がなされたものと位置づける事もできそうです。引いては、山田先生ご自身が当時の同人誌界隈から商業誌への越境者であるという事を明示する作品群でもありますね。
【参考】「人魚變生」バーズコミックススペシャル/幻冬舎コミックス(2015)
https://www.gentosha-comics.net/book/b518883.html
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□ Manga03「百花庭園の悲劇」
(◇Mostra di illustrazioni:幻冬舎版 装画(2014))
(◇Mostra di manga①:「グレープフルーツ」第15号 P224(1984)/幻冬舎版 P84)
(◇Mostra di manga②:「グレープフルーツ」第12号 P112-117(1983)/幻冬舎版 P14-19/**2色カラー画稿)
3番目に「Manga」コーナーに展示されていた作品は、緊迫感漂うハードボイルド「百花庭園の悲劇」。原画に添えられたキャプションでは、「『十ニ国記』画集〈第二集〉青陽の曲」に掲載された小野不由美先生の「指針」(同画集P4)を引用する形で、この作品がはじめて小野先生が出会った山田漫画であった事が示されていました(という理由もあってか、漫画原稿の展示枚数は他の作品よりもかなり優遇されていましたね)。小野先生が「指針」で語る「素っ気ないほどお洒落な表紙」というのは、1984年に新書館から最初に刊行されたB5判の単行本のときのもの。残念ながら今回は展示されていませんでしたが、この表紙絵は「Full Flower Garden」という架空のタバコ箱だけが描かれたもので、他の多くの山田先生の装画とは違って人物が描かれていないのが特徴的です。確かになんだかお洒落な一冊。
今回展示されていた漫画原稿のうち、特に印象的だったのは新装版単行本のP18にあたる場面。銃口を構える主人公ダグの眼前で顕現せんとするスージー・ウォンの手というシーンですが、これまで連載第1回にあたるこの回が2色刷で印刷された場合でも、どうやらこのページだけは1色刷の扱いで処理されていました[08]。しかし原画を見てみると、山田先生としてはここも2色刷のつもりで描いていらした様子。黒い背景に鮮やかなホワイトで描かれた描線は、止まっているはずなのにゆるゆると蠢くようで、印刷されたものとはまったく印象が異なりました。個人的には、この1枚をじっくり眺める事ができただけでも、姫路まで足を運んだ価値があったように思われます。
他の山田作品同様、この「百花庭園の悲劇」も、他の様々な作品からのオマージュが見られる一作。たとえば作中に登場する女優の名前は、舞台が同じ香港という事で1960年公開の映画「スージー・ウォンの世界」から採られたもの。また、未来社会を舞台にしている事から、ダグが運転するタクシーは1982年公開の映画「ブレードランナー」のスピナー風です。しかし、こうしたわかりやすい表面上のモチーフ以上に見逃せないのは、この作品を構築する際に山田先生の念頭にあったのが、1983年5月にマイアミで展開された、ブルガリアの芸術家クリスト・ジャヴァチェフによるプロジェクト「Surrounded Islands」であった事[09]。「ふぁんたすてぃか」でも暗示されているのですが[10]、近代・現代の芸術作品の思潮が、山田章博というひとりの作家のフィルターを通して深層で作品に還流されていく――という趣向が、この「百花庭園の悲劇」にも内包されていたのでした。こうした<現代芸術から漫画作品へ>という越境の指向も、山田漫画をより豊穣で魅力的なものにしているようです。
【参考】「百花庭園の悲劇」バーズコミックススペシャル/幻冬舎コミックス(2014)
https://www.gentosha-comics.net/book/b519307.html
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□ Manga04「ラストコンチネント」
(◇Mostra di illustrazioni①:幻冬舎版 上巻装画(2014))
(◇Mostra di manga①:「WHAT」1985年8月号 P173(1985)/幻冬舎版 上巻P73)
(◇Mostra di illustrazioni②:幻冬舎版 下巻装画(2014))
(◇Mostra di manga②:「ラストコンチネント Part2」P74-75(1988)/幻冬舎版 下巻P76-77)
4番目に「Manga」コーナーに展示されていた作品は、山田版秘境冒険譚の代表たる昭和浪漫空想科学社会派冒険大活劇[11]「ラストコンチネント」。姫路文学館で展示された漫画原稿のうち、下巻分は新装版単行本P76-77の翼竜舞う地底の王国の情景が描かれた場面でした。「ラストコンチネント」は、雑誌「WHAT」の看板作品としてその創刊号から連載されましたが、それまでの耽美風な山田先生の作風から大きく外れていたため、あまり人気が取れなかったそう[12]。第1部こそ月刊ペースで計5回を費やして描かれましたが、その後は、第2部を「WHAT」1986年10月号に72ページで一挙掲載。さらに「空想科学大冒険活劇競作大全集」vol.2とVol.3に完結編90ページを前後編で掲載、というかなり変則的な雑誌遍歴を経て第2巻分がまとまりました。今回姫路で展示された原稿は、「WHAT」掲載の第2部と「空想科学大冒険活劇競作大全集」掲載の完結編の間を繋ぐ場面が、単行本用に描き下ろされたもの。つまり、いちばん最後に描かれた本編原稿という事になります。当初は全3巻仕立ての構想だったものが、なんとか物語を完結させるために内容を大幅に削らざるおえなかったという「ラストコンチネント」[13]。その最後のページを、山田先生はどのような気分で描かれたのかしら…と、うっかり会場内で考えてしまい、この作品ではじめて山田漫画に触れ、やがて作家研究のまねごとに取り組む事になった見習い書記官の中の人は、不覚にもたいへん切ない気分になったものでした(いや、もちろん山田先生の事なので、淡々と描かれたんだと思いますが)。
下巻の冒頭にアーサー・コナン・ドイルの言葉が引用されている事からも、秘境冒険小説の古典「失われた世界(ロスト・ワールド)」の系譜に連なるものとして構想されたと思しき本作。その物語世界のディテールには、往時の東宝特撮怪奇映画からの影響がつとに指摘されるところですが、実は内容的にはムー大陸ものをはじめとする1970年代に流行したオカルト文芸も下敷になっています。例えば作中に"みなさまご存じの"といった雰囲気で登場する「大回鶻帝国」など、今となっては何の話なのかよくわからなかったりもするわけですが、1973年に刊行された黒沼健「失われた古代大陸」(新潮文庫)などでは一章を割いてこれについて解説されていたりして、当時のその界隈では割と基礎教養にあたるものだったようです。こうした<60~70年代オカルト文芸から漫画作品へ>という越境は、世紀末気分華やかなりし1980年代にはかなりポピュラーなもので、例えば「ラストコンチネント」と同じ地球空洞説を題材にした山田先生の短編「エヴァンス夫人の失踪」などは、そうした漫画をかき集めた学研の雑誌「COMICムー」[14]に掲載されていたりしたのでした。もちろん「ラスコン」単体でも充分エンターティメントとして楽しめるのですが、こうした背景に埋め込まれたあれやこれやをあわせて紐解いてみると、さらに濃厚に作品を味わう事ができそうです。
【参考】「ラストコンチネント」バーズコミックススペシャル/幻冬舎コミックス(2014)
上巻
https://www.gentosha-comics.net/book/b519202.html
下巻
https://www.gentosha-comics.net/book/b519252.html
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□ Manga05「紅色魔術探偵団」
(◇Mostra di illustrazioni:幻冬舎版 装画(2016))
(◇Mostra di manga:「クレッセント」No.1 P32(1988)/幻冬舎版 P128)
5番目に「Manga」コーナーに展示されていた作品は、「紅色魔術探偵団」。山田漫画を代表する人気キャラクターである「小悪魔」が大活躍する本作。2025年にフランスの雑誌「ATOM」#32に掲載されたインタビュー[15]では、「最初の一般受けしたヒット作。人々を魅了する登場人物と、わかりやすいポップな表現。」と褒めちぎられていました。それに対して山田先生も「読者には(難しい事を考えずに)、楽しい時間だと思って欲しかった」「物語はたいして複雑なものではなく、何よりもまず登場人物を目立たせるためにあった」(以上意訳)といった事を語っていらっしゃいましたが、おそらく作者が描きたいものを描いた前作「ラストコンチネント」の反省を踏まえて(?)、生まれるべくして生まれた人気作と言えましょう。
さて、姫路文学館でこの作品の展示原稿としてセレクトされていたのは、コメディタッチのファンタジー風味の一篇「第7話 大襲来!お笑い宇宙戦争」からの1ページ(新装版単行本P128)。見習い書記官の中の人の同行者などは「カッコイイ小悪魔のページなんてたくさんあるのに、何でよりによってこれ!?」と、ちょっと怒っていましたが、そういえばこの1枚の画稿から呼び起こされる作品がひとつありました。それは、平井和正先生のラスト・ハルマゲドンストーリー「地球樹の女神」。物語の途中まで山田先生が装画・挿絵をつとめたこの小説では、単行本11巻収録の「ストロー・ハットとデッキチェアーをもう一度」の章で、主人公四騎忍が「やまだあきひろ」という美青年にして天才漫画家の描いたコミック作品の夢を見るという一幕がありました。ここでハチャハチャ小説の名手でもあった平井先生の筆で描き出されていたのが、今回展示された「大襲来!お笑い宇宙戦争」だったのです。つまり<漫画作品から小説作品へ>の越境を果たした一作という事で、実のところ(越境する○○というのがコーナーの隠されたテーマだったとすると)この画稿は、今回の「Extra3」の展示にふさわしい一枚であったものと思われます。
平井和正先生と山田章博先生の関係で思い出されるのは、角川文庫版「真幻魔大戦1 ビッグプロローグ」の巻末に添えられた解説(同書P265-268)。この小文の中で山田先生は、鏑木清方が自身と泉鏡花を描いた「小説家と挿絵画家」という一枚の絵を紹介し、平井先生と自らの「小説家と挿絵画家」の情景を綴っていらっしゃいました。その後、様々な変転があり、その絵が実際に描かれる事はなさそうですが、結果として山田先生の挿絵画家としての代表作が「十ニ国記」となったいまこの時に立って考えるならば、描かれるといいなと思うのは、小野不由美先生との「小説家と挿絵画家」であるような気もします[16]。西王母とドワーフの対面なんて姿で描かれると、面白い絵になりそうですよね。そんな事を口に出すと「いちばんいい場面はあなたの心の中に」と、先生に笑われてしまいそうですけれど。
【参考】「紅色魔術探偵団」バーズコミックススペシャル/幻冬舎コミックス(2016)
https://www.gentosha-comics.net/book/b518448.html
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□ Manga06「鋼鉄のパンドラ」
(◇Mostra di illustrazioni:幻冬舎コミックス「機巧亭茶館」装画(2016))
(◇Mostra di manga:「エリアルコミック」ACT6 P6(1991)/幻冬舎版「機巧亭茶館」P8)
6番目に「Manga」コーナーに展示されていた作品は、「鋼鉄のパンドラ」。展示された漫画原稿だけではわかりませんが、というかおそらく短編漫画全篇を読んでも、知らなければそうとはわかりませんが、この作品はカテゴリーとしてはいわゆる「版権もの」。もともとは、笹本祐一先生の小説「ARIEL(エリアル)」関連の作品を中心に編まれていた漫画誌「エリアルコミック」に、アンソロジー漫画の一篇として掲載されたものでした。前述の「紅色魔術探偵団」宇宙戦争の巻とは逆に、本作の場合は<小説作品から漫画作品へ>という越境がおこなわれたもの、という事になります。山田先生の手になる「版権もの」には、「ガリアン」[17]や「デビルマン」[18]といった一枚絵はちょこちょこあるんですが、漫画作品になっているものはちょっと珍しい[19]。計3冊の単行本を元に新たに編み直された、名作粒ぞろいの新編集版「機巧亭茶館」(≒カフェ・ド・マキニカリス)[20]から、あえてこの一篇が選ばれたのは、この作品のそういう素性によるものなのかな?と想像しながら拝見した1枚でした。
なお、「鋼鉄のパンドラ」の発表時期は1991年11月で、これは「魔性の子」が新潮文庫のファンタジーノベル・シリーズの1冊として刊行された1991年9月の2ヶ月後。実は、ほぼ同時期の画房(アトリエ)の環境で描かれたものです。そういう関係性からも、本作は今回の「十二国記」原画展に取り上げられるにふさわしい一篇であったと申せましょう。ちなみに「鋼鉄のパンドラ」は、新編集版「機巧亭茶館」ではモノクロでの収録ですが、1999年刊の単行本「ボーナス・トラック」(日本エディターズ)では、初出誌同様カラーでの収録となっています。原画展で見たあのカラー画稿をゆっくり眺めたい…と思われた向きには、そちらをオススメする次第。
【参考】「機巧亭茶館」バーズコミックススペシャル/幻冬舎コミックス(2016)
https://www.gentosha-comics.net/book/b518601.html
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□ Manga07「夢の博物誌」
(◇Mostra di illustrazioni:幻冬舎コミックス「夢の博物誌」装画(2015))
「Manga」コーナーの展示ながら、漫画の中身はなくて、新装版の装画だけがちょこんと展示されていたのは「夢の博物誌」。山田先生の初期作品の単行本は、2014年から2016年にかけて計8冊が復刊されましたが、その幻冬舎コミックス版の新しい装画の数々が一堂に会したのは、実は今回の姫路文学館での「Extra3」の展示がはじめてでした。新装版用に描き下ろされた装画はどれも瑞々しく、収められた作品群が時代を越境するために、新たな角度から光を照射しているよう――と、勢ぞろいした原画を鑑賞させていただけたのはとてもよかったのですが、揃ってみると今度はこの10年前の復刊ラインナップから外れてしまったいくつかの作品が気にかかります。特に、人気者の小悪魔くんが活躍する「BAMBOO HOUSE」や「多麻能美須麻流」などが、手軽に読めなくなってしまっているのは寂しい限り。また、1990年代初頭に描かれたものを中心に、雑誌掲載のみとなっている短編作品もまだいくつかありますので[21]、それらも含めた「ボーナス・トラック2」的な拾遺篇が、やがて編まれる日が来る事を願ってやみません。
【参考】「夢の博物誌」バーズコミックススペシャル/幻冬舎コミックス(2015)
https://www.gentosha-comics.net/book/b518839.html
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□ Manga08「BEAST of EAST-東方眩暈録-」
(◇Mostra di illustrazioni①:1巻装画+装画背景(1998))
(◇Mostra di manga①:「コミックバーズ」1997年4月号 P312-313(連載第11話)/幻冬舎版 1巻P146-147)
(◇Mostra di manga②:「コミックバーズ」1997年6月号 P311-312(連載第12話)/幻冬舎版 1巻P168-169)
(◇Mostra di illustrazioni②:2巻装画+装画背景(2000))
(◇Mostra di manga③:「コミックバーズ」1999年10月号 P442-443(連載第28話)/幻冬舎版 2巻P120-121)
(◇Mostra di illustrazioni③:3巻装画+装画背景(2007))
(◇Mostra di manga④:「コミックバーズ」2006年5月号 P154(連載第51回)/幻冬舎版 3巻P162)
(◇Mostra di illustrazioni④:4巻装画+装画背景(2011))
(◇Mostra di manga⑤:「コミックバーズ」2008年3月号 P140-141(連載第五十五回)/幻冬舎版 4巻P64-65)
(◇Mostra di manga⑥:「コミックバーズ」2011年4月号 P356-357(連載第五十九回)/幻冬舎版 4巻P168-169)
(◇Mostra di illustrazioni⑤:「コミックバーズ」1997年1月号 P309(連載第八回)/絵巻眩暈誌 P14)
(◇Mostra di illustrazioni⑥:「コミックバーズ」1997年7月号 P313(連載第13話)/絵巻眩暈誌 P4)
(◇Mostra di illustrazioni⑦:「コミックバーズ」2003年2月号 P229(連載第46話)/絵巻眩暈誌 P32)
(◇Mostra di illustrazioni⑧:「コミックバーズ」2001年1月号 P359(連載第35話))
「Manga」コーナーの最後を飾ったのは、本朝夢幻冒険絵巻「BEAST of EAST-東方眩暈録-」でした。このシリーズの単行本の装画は、いわゆる「表紙絵」と、それとは別に描かれた「背景画」の2枚構成になっています(今風に言えば、アナログでレイヤー分けが行われています)。姫路文学館ではそれらが実際の単行本とあわせて並べられていて、特に全体像を目にする機会の少ない「背景画」が人気を集めていたように思われます。「十二国記」との関連で思い起こすと、この作品では実は第2巻の「帯」に小野不由美先生が小文を寄せていらっしゃいました。曰く「語りと絵と世界構築、これが名匠の至芸」。残念ながらこの帯は今回の姫路では展示されていませんでしたが、これから「BEAST of EAST」を手に取ろうという向きは、この推薦文が刷り込まれた「帯付」のもの[22]の存在を気にかけられるとよろしいかと存じます。
漫画原稿の展示の方では、単行本1巻の髑髏を手に佇む藻(単行本1巻P168-169)がやはり素晴らしかったのですが、姫路文学館開館当時の1991年に刊行された「播磨の風土と文化 姫路文学館への招待」に「陰陽師の逃避行」(同書P24-25)と題した一項が設けられる程度には姫路と縁のある芦屋道満が、ここに何気なく登場している事は、やはり指摘しておかざるおえないでしょう。姫路での展示の中に「それとなく居た」というのが、いかにも道満法師らしくてよかったですね。
さて、この名匠の至芸のベースとなっているのは岡本綺堂の小説「玉藻の前」と、そこから派生した1968年(昭和43年)公開のアニメ映画「九尾の狐と飛丸」(日本動画)[23]。さらには、これに将門ものの諸作品なども練り込まれているようです[24]。その他にも、様々なジャンルの作品から漫画作品へのイメージの還流、引いては語り直しによる物語の再生が目論まれていると思しき本作ですが、雑誌「月刊京都」2014年2月号に掲載されたインタビュー記事(同誌P34-35)では、少年時代の山田先生が心躍らせた初期の東映アニメーション映画「少年猿飛佐助」や「安寿と厨子王丸」などが挙げられ、そういった自分を育んだ作品群の集大成として「BEAST of EAST」が描かれている旨の記述があります(このほか、2011年6月刊の雑誌「季刊エス」第35号掲載のインタビューでは「BofE」を指して「僕版の猿飛佐助」とも(同誌P73))。今回の姫路文学館の展示でいえば、4巻部分の合戦場面での鬼王丸の古い遊び仲間の活躍といったあたりは、特にこうした(クラシックな)アニメ映画からの影響を感じさせる部分と言えましょうか。
ところで「月刊京都」のインタビューで話題に挙がっていた作品のうち「猿飛佐助」ものの近現代的な系譜を辿ると、明治から大正にかけて刊行された講談本「立川文庫」に行きつきます。立川文庫の名前は、伝奇時代小説などに親しんでいれば一度は耳にするもの。のちの忍術ものの語りなどに大きな影響を与えたとされるこの文庫、出版していた立川文明堂は大阪の出版社だったんですが、実は姫路文学館の常設展示にその創設者・立川熊次郎氏のパネルが並んでいました。大正の文庫王、姫路のご出身だったんですね。奇なる縁に導かれ、鬼王丸がひいじいちゃんちに遊びに来たという風にも思われ、解説文を目にして微笑ましくなったものでした。
何はともあれ、この山田漫画最長作品、2011年を最後に物語が止まってしまっているので、ファンとしては早く続きを読ませていただきたいところです。完結巻となるはずの第5巻が、無事に描き上がりますように。
【参考】「BEAST of EAST-東方眩暈録-」バーズコミックスデラックス/幻冬舎コミックス
1巻
https://www.gentosha-comics.net/book/b534651.html
2巻
https://www.gentosha-comics.net/book/b534652.html
3巻
https://www.gentosha-comics.net/book/b535324.html
4巻
https://www.gentosha-comics.net/book/b520176.html
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□ 絵師 山田章博の画材
「Extra3」で小説装画を取り揃えた「Illustration」のコーナーに先立って展示されていたのは、山田章博先生の画材の一覧表と、その情報をもとに文学館が買い揃えたという実際の画材の現物。これは、姫路文学館のオリジナルコンテンツでした。絵が飾られているわけではないので、うっかり流し見だけで通り過ぎてしまいそうにもなりますが、実は注目すべき今回の原画展の目玉展示だったのです。労作の画材一覧表は「紙」「絵描き用」「筆」「着彩」「その他」という五項目からなり、パネルには「紙」4銘柄、「絵描き用」8銘柄、「筆」8銘柄、「着彩」23銘柄、「その他」4銘柄が挙げられていました。ご自分でもアナログで絵を描かれる向きは、特にこの展示を楽しむ事ができたのではないでしょうか。(* 実は一覧表に載っていないのに現物が置かれていた画材も多くあり、一筋縄ではいかない展示でもありました。おそらく、何度も足を運ぶと見えてくるという仕掛けのひとつだったんですね。)
ちなみに、山田先生の使用画材については、2006年夏に高知・横山隆一記念まんが館で開催された「山田章博展~幻想空間へのいざない~」でも紹介された事がありました。それからおよそ20年。使用画材の変転を眺めてみるというのも、なかなか面白そうです。その当時(2006年5月時点)の画材一覧は、「山田章博展~幻想空間へのいざない~展示図録」のP38に掲載されていますので、ご興味がおありの向きはご確認を。当該図録をお持ちでない場合は、例えば国立国会図書館から複写を取り寄せる事もできます。
さらに古い記録では、1982年に雑誌「ぱふ」に掲載されたインタビューで話題をさらった「ガラスペン」が特に有名なところ。また、1990年代後半になると、漫画家・イラストレーターを志した皆さんの指南書となった雑誌「コミッカーズ」とその関連書に、ちらほらと使用画材が記録されています[25]。このあたりも参照すると、山田先生の使う"魔法の筆"探究に役立ちそうですね。
【参考】"国立国会図書館サーチ"「山田章博展~幻想空間へのいざない~展示図録 : 第5回高知出身まんが家展」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008250298
【参考】姫路・展示リスト「EXTRA3:Materiali Artistici」(Ver.2026/05/05)
https://yamadakawaraban.ninja-web.net/event2025_12himeji_Extra3_Materiali Artistici.pdf
(** 上記の姫路展の画材関連記録については、確認が不十分な箇所があります。あくまでも参考資料としてご覧ください。PDF注意。)
(** 凡例:パネルの一覧表に記載のあった画材=□/参考品が展示されていた画材=◎ )
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□ Illustration01「ウエスタン武芸帳」
(◇Mostra di illustrazioni:1巻「異西部の剣士」装画(1986)/「山田章博画集」P39左上)
(** 水彩)
最初に「Illustration」のコーナーに展示されていたのは、菊地秀行先生の「ウエスタン武芸帳」第1巻「異西部の剣士」の装画。添えられたキャプションには、「山田が初めて担当した装画」とあります。もちろんそれこそが、この一枚がコーナーの筆頭に配置された理由だったのでしょう。2002年に刊行された「山田章博画集」(中央公論新社)あとがきの「ウエスタン武芸帳」の項に「僕に本格的なイラストレーターとしてのキャリアがスタートするきっかけを与えて下さった~」云々とあり、これを引いた堺三保さんの「山田章博のWhat a Wonderful World! Ⅰ 解説編」の「装画イラストレーター」の項に「最初の作品は一九八六年から始まった菊地秀行の「ウエスタン武芸帳」シリーズだ」(書籍版「『十ニ国記』絵師 山田章博の世界」P73)とあるので、このような扱いになっていたものと推察されます。しかし、残念ながらこれはちょっと誤り。素晴らしい原画展や堺氏の稿を貶める意図はないのですが、一応事実関係として、初期の山田先生の小説の装画・挿絵関係の代表的なお仕事を年譜風に挙げておきましょう。
1982年(昭和57年)11月:【挿絵】南條竹則訳「いまはなき王国の王女」(「幻想文学」第2号/幻想文学出版会)
1983年(昭和58年)08月:【扉絵・挿絵】大和志保「眩暈の夏」(「小説JUNE」No.4/サン出版)
1984年(昭和59年)08月:【装画】大瀧啓裕編「ホラー&ファンタシィ傑作選1」(青心社)
1985年(昭和60年)04月:【装画・挿絵】武田邦人「女魔法使いフィルス 聖なる樹を求めて」(Hello Challenger Book/朝日ソノラマ)
1985年(昭和60年)05月:【扉絵・挿絵】菊地秀行「ウエスタン武芸帳/第1話 沖田総司異聞」(「獅子王」1985年初夏号(創刊号)/朝日ソノラマ)
1985年(昭和60年)08月:【装画・挿絵】菊地秀行「切り裂き街のジャック」(ハヤカワ文庫JA/早川書房)
1986年(昭和61年)03月:【装画・挿絵】菊地秀行「ウエスタン武芸帳1 異西部の剣士」(ソノラマ文庫/朝日ソノラマ)
単純に書籍の装画というと1984年の「ホラー&ファンタシィ傑作選1」が最も早い例ですし、文庫サイズのものでも、1985年4月には「女魔法使いフィルス」が刊行されています。「女魔法使いフィルス」はゲームブックである、という点を差し引いたとしても、同じく1985年の8月には「切り裂き街のジャック」が、山田先生が装画・挿絵を描き下ろした文庫本として刊行されていますので、やはり1986年刊の「異西部の剣士」が「初めて担当した装画である」と言うのは、ちょっと無理がありますね。
ただし、「ウエスタン武芸帳」は山田先生が初めて担当した雑誌連載の小説挿絵ですので、そういう意味で「本格的なイラストレーターとしてのキャリアがスタートしたきっかけ」である事は間違いありません。また、「山田章博が描く装画/カバー絵」という言葉から一般的にイメージされそうな、<中央に主要登場人物が描かれ、周辺に作中に登場するオブジェクトが配置された絵>という、現在まで続く基本的なスタイルは、確かにこの「異西部の剣士」で確立したものであるとは言えそうです。
作品そのものが、幕末の日本に生きたサムライが、異世界の色彩を帯びた西部劇的な北米大陸へ赴く――という、かなり領域横断的な内容の「ウエスタン武芸帳」ですが、<小説・文芸からの越境>というあたりに着目すると、JET先生によるコミカライズが目を惹きます。こちらは、1991年に雑誌「ハロウィン」で連載され、1992年に単行本化されたもの。あるいは「JET版ではじめてこの作品に触れた!」という方もいらっしゃるでしょうね。スタイリッシュなJET版にどれぐらい山田挿絵(この作品ではかなり泥臭い絵柄が使われています)の要素が組み込まれているのかは、素人目にはよくわかりませんが、少なくとも、コミック版に先行して山田絵による凶悪にして美麗な沖田が存在していた事については、一応記録されていてよいものと思われます。
なお、「ウエスタン武芸帳」の小説本編は1988年刊の第3巻までで中断しています(JET先生によるコミック版は原作小説の1巻部分のみ)。1992年の雑誌「グリフォン」創刊時に再開の可能性が言及された事もありましたが、残念ながらそれは叶いませんでした。
【参考】菊地秀行「【電子版】ウエスタン武芸帳1 異西部の剣士」アドレナライズ
https://www.amazon.co.jp/dp/B00H4SURJU
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□ Illustration02「怪獣小説全集」
(◇Mostra di illustrazioni①:Ⅰ「怪獣総進撃」装画(1993)/「山田章博画集」P62)
(◇Mostra di illustrazioni②:Ⅱ「怪獣大戦争」装画(1993)/「山田章博画集」P63)
(** Ⅰ:水彩、Ⅱ:水彩/マーカー)
2番目に「Illustration」のコーナーに展示されていたのは、1993年12月刊行の「怪獣小説全集」全2巻(出版芸術社)の装画。添えられたキャプションでは、中央公論新社「山田章博画集」のあとがきを引いて「山田の怪獣好きが縁となって担当した装画。それぞれ4時間で描き上げたという」と、驚きの製作時間が紹介されていました[26]。同画集あとがきの「探偵クラブ」の項には「最も手の早い時期の仕事」とあり、「怪獣小説全集」も確かにそれらと同じ1990年代初頭に描かれたイラストではあるのですが、しかしそれにしても早い。その上、二点ともにその短い製作時間を感じさせない完成度です。文学館が少しばかり煽情的なキャプションを付けたくなったのも、うなずけますね。
この「怪獣小説全集」ですが、装画にゴジラが描かれたⅠ巻「怪獣総進撃」には、香山滋「G作品検討用台本」「獣人雪男」、福島正実「マタンゴ」という3編が収録され、また装画にモスラと小美人の描かれたⅡ巻「怪獣大戦争」には、黒沼健「ラドンの誕生」、吉田誠「大怪獣モスラ」、小林晋一郎「ゴジラVSビオランテ」という3編が収録されていました。収録作品のタイトルだけ見ても明らかなように、この2冊はシリーズ全体として<怪獣映画から文芸作品へ>という越境が指向されたもの。同シリーズの帯(の背の部分)には「怪獣文芸」の文字が誇らしく踊っていますが、そこには新たな文学のカテゴリーを創出せしめんと立ちのぼる、ひそやかな熱気のようなものも見て取る事ができます。
「山田章博画集」あとがきの熱烈な(?)一節を読む限り、この「怪獣小説全集」の豪華作家陣の中で特筆しなければならないのは、G作品の香山滋先生という事になるでしょうか。「怪獣小説全集」以外に山田先生が装画を描いた香山作品には、1993年10月に刊行されたふしぎ文学館「月ぞ悪魔」(出版芸術社)があり、同書ではその銀色の帯(の裏表紙側)に推薦文まで寄せていらっしゃいます[27]。ほかに、「小説すばる」で展開され山田先生がイラストを添えた、南條竹則先生の古今名著案内「書中に女あり」の第2回で「キキモラ」「海鰻荘奇談」が取り上げられている事も見逃せませんが[28]、単行本「夢の博物誌」に収録された短編漫画「胡蝶探記」などは、香山先生の南洋冒険譚へのオマージュともいうべき作品に仕上がっていて、山田先生のなみなみならぬ憧憬の念が伝わってきます。フランスの雑誌「ATOM」#32のインタビューでちらりと語られていましたが、「こういう文章が好き」といったご自身の趣味嗜好は、あまり明らかにされない方針であるらしい山田先生。香山滋作品への傾倒ぶりは、その貴重な例外といえるでしょうか。
さて、両者に直接の関係はないのですが、「ウエスタン武芸帳」と「怪獣小説全集」を並べて見せられた一読者は、そこからうっすらと、まったく別の作品を幻視せざるおえませんでした。もちろんそれは、"菊地秀行先生原作"の山田先生の"怪獣漫画"。この展示配置が意図的なものであったのかどうかはよくわかりませんが、連載完結から四半世紀以上となる幻の作品「アラバキ」が、なんとか単行本化されないものかなァ…と、見習い書記官の中の人は、並べられた3枚の絵を前に深々と嘆息するはめになってしまったのでした[29]。
【参考】"国立国会図書館サーチ"「怪獣総進撃」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002300898
【参考】"国立国会図書館サーチ"「怪獣大戦争」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002300994
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□ Illustration03「ドリームバスター」
(◇Mostra di illustrazioni:4巻装画(2007))
(** 透明水彩/コピック/PILOTドローイングペン)
3番目に「Illustration」のコーナーに展示されていたのは、宮部みゆき先生の「ドリームバスター4」(徳間書店)の装画。テーラと地球というふたつの世界を夢を通じて<越境>する物語ということで、「Extra3」にぴったり(?)のセレクト。SFチックなガジェットを操るテーラ側の登場人物は、なぜかアメリカの片田舎からやってきたような装いで、そのあたりも実に越境的と言えましょう。
この「ドリームバスター」、実はシリーズの中で最初に発表された「ファースト・コンタクト」が、山田先生の作品史上にユニークな位置を占める一篇。このお話は、雑誌「週刊アスキー」で2001年1月23日号から4月24日号まで計14回にわたって連載されましたが、これは山田先生のキャリアの中で唯一の週刊連載だったのでした。また、「ドリームバスター/ファースト・コンタクト」は、雑誌と同時に商業出版の電子書籍サイト「e-NOVELS」上でも連載された、当時としては先進的な一作。2020年代現在まで至ると、どちらかと言えば電子書籍の方が世の主流になっているわけですが、この一篇は山田作品としてはその最初期の事例なのでした。作中の登場人物たちだけでなく、作品そのものが<アナログからデジタルへ>と越境しその開拓に挑むという、多分にメタな展開が進行していたわけですね。
また「ウエスタン武芸帳」同様、「ドリームバスター」もまたコミカライズがおこなわれた作品。中平正彦先生によるコミック版の「ドリームバスター」(徳間書店/リュウコミックス)は、2006年から2010年にかけて雑誌「COMICリュウ」に連載され、単行本全7巻が刊行されました[30]。スタッフ等の一員として明記こそされていませんが、このコミック版では主人公のシェンやマエストロらのキャラクター造形に、山田先生の描いたイラストのそれが割と濃厚に投影されていて、文字通り<小説の世界から漫画の世界へ>と越境した登場人物たちの活躍を楽しむ事ができます[31]。
さて、今回の姫路文学館で装画が展示されていた第4巻が刊行されたのは、2007年の事。宮部みゆき先生のインタビューなどを追うと、1巻収録の「JACK IN」が掲載された2001年4月刊の「SF Japan」2001年春季号の時点では「全五巻ぐらいになる計算」とされていましたが、その後構想が膨らみ、2001年夏頃に回答されたWebサイト「大極宮」の「Q&A」Q43では「全6巻の予定」、2巻の発売に合わせて記事が載った2003年5月4日の「毎日新聞」では「全7冊の予定」、さらに3巻収録の「赤いドレスの女」が掲載された2003年11月刊の「SF Japan」VOL.08でも「全七巻予定」となっていました。「SF JAPAN」2006年AUTUMN掲載の3巻刊行告知に添えられたコメントでは「時間鉱山」編が「重要な転換点」とされていましたし、どうやら物語は残り半分ぐらいありそうな雰囲気。しかし残念ながら、掲載誌が2011年に休刊した事も響いてか、小説「ドリームバスター」は20年近く続巻のない状態となっています。
【参考】宮部みゆき「ドリームバスター4」徳間書店(単行本)
https://www.tokuma.jp/book/b504489.html
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□ Illustration04「アルスラーン戦記」
(◇Mostra di illustrazioni①:1巻「王都炎上」装画(2012))
(◇Mostra di illustrazioni②:3巻「落日悲歌」口絵(2012))
(** 透明水彩/コピック/SAMカラーマスター)
4番目に「Illustration」のコーナーに展示されていたのは、田中芳樹先生の「アルスラーン戦記」から、1巻「王都炎上」の装画と3巻「落日悲歌」の口絵。角川文庫版の天野喜孝先生、カッパノベルス版の丹野忍先生に続いて、3人目のパルスの宮廷画家となった山田章博先生でしたが、その発表の舞台となった光文社文庫版では、各巻に「装画」と「口絵」――つまりカラーイラスト2点が描き下ろされていました。そして、今回の姫路文学館の展示では、その中からそれぞれ1枚ずつがピックアップされる形となっていたのでした。
1986年にシリーズが開幕した「アルスラーン戦記」でしたが、1990年までに第1部全7巻が刊行され、1991年からは最初のアニメ版がスタート。しかし小説本編は、第2部に入ってからはなかなか田中先生の筆が進まず、1990年代に3巻、2000年代に出版社を移籍して3巻、そして2010年代に最後の3巻が刊行されて、ようやく全16巻の完結を迎えることとなりました。2010年代の小説本編完結と前後する時期には、荒川弘先生によるコミカライズがスタートし、それを原作とした新たなアニメ版や、さらにはゲーム版が製作されたりもしていたのですが、山田先生が担当した光文社文庫版も、おそらくはこの一連の動きに合わせて企画されたものであったように思われます。結果的にそうなった――という可能性も多分にありますが、事実上、いわゆるメディアミックスとして、ひとつのコンテンツが多数のメディアを越境して展開される、その一翼を担う事になったわけですね[32]。
ここで面白いのが、光文社文庫版の1巻「王都炎上」が刊行されたのが2012年4月で、同年6月に刊行された新潮文庫完全版「十ニ国記」の最初の3巻「魔性の子」「月の影 影の海(上・下)」と同時期であった事。その後、山田絵版「アルスラーン戦記」は、ほぼ年に2冊というペースで順調に巻を重ねていきましたが、15巻「戦旗不倒」が世に出たのは2019年11月の事でした。そうです。その刊行は、「十ニ国記」のシリーズ14・15巻目となる「白銀の墟 玄の月」三巻・四巻とほぼ同時だったのです。アルスラーンの方は続く16巻「天涯無限」で完結するわけですが、結果として、光文社文庫版「アルスラーン戦記」と新潮文庫完全版「十ニ国記」は、描かれた時期も、そしてその巻数もほぼ同じという、山田絵ものとしては双子のようなシリーズとなったのでした[33]。
フランスの雑誌「ATOM」#32のインタビューの中で「できることなら登場人物は表現せず、もっぱら情景を描く事に専念したい。」(意訳)ともおっしゃっていた山田先生。「アルスラーン戦記」の「口絵」では、その願いが少し叶えられて、いくつかの巻でほとんど情景メインのような絵を描かれています。例えば8巻「仮面兵団」で描かれた、国境地帯の難所「鉄門(カラ・テギン)」の絶景などが特に印象深いのですが、残念ながらこれらの「口絵」、装画と違って紹介される機会が少ないんですよね。装画・口絵あわせて計32点が描かれた山田版アルスラーン、いつかまとめて原画展で展示されたり、画集等に収めていただけると嬉しいのですが[34]。
【参考】田中芳樹「王都炎上 アルスラーン戦記1」光文社文庫
https://books.kobunsha.com/book/b10126680.html
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□ Illustration05「火狩りの王」
(◇Mostra di illustrazioni①:単行本4巻「星ノ火」装画(2020))
(◇Mostra di illustrazioni②:単行本4巻「星ノ火」裏表紙(2020))
(** 透明水彩/コピック/呉竹ZIGクリーンカラー)
5番目に「Illustration」のコーナーに展示されていたのは、日向理恵子先生の「火狩りの王」から、ほるぷ出版・単行本版の4巻「星ノ火」の装画と裏表紙絵。2018年から2021年にかけて計5巻が刊行されたこのシリーズの単行本は、毎巻カバー用に2点のカラーイラストが用意され、本文中ではモノクロの挿絵6点のほか児童書らしく目次絵まで描かれるという、なかなか豪華な仕様でした(角川文庫版では、装画が新たに描き下ろされ、本文の挿絵・目次絵は出版社の垣根を越えて単行本と同じものが使用されています)。日向先生は姫路を含む播磨地域を中心に活動を続けていらっしゃるので、いわばご当地作家。姫路文学館での山田章博原画展に際して「火狩りの王」が登場するのは、ごくごく自然な成り行きと申せましょう[35]。
<小説・文芸からの越境>という視点から見ると、この作品の場合はアニメ版が製作されています。押井守先生の手になる構成・脚本を経由して紡ぎ出されたアニメ版「火狩りの王」は、2023年から2024年にかけてBS放送のWOWOWオリジナル作品として初回放送され、その後、各種ネット配信へと転じていくという今風な経歴の持ち主。あまりアニメ方面に詳しくない見習い書記官の中の人は、今どきは放送後に円盤化されない(Blu-rayやDVDなどにならない)事もあるのね、という知見をこの作品で得る事になったのでした。アニメ化にあたっては、原作小説用に描かれた山田先生の手になる装画・挿絵がキャラクターデザイン等の原案となっているのはもちろん、アニメ制作用に新たに描き起こされた設定画もあったよう。こちらは静山社ペガサス文庫版の外伝「野ノ日々」に、その一部とみられる画稿が収録されていますので、興味のある方はぜひご確認を。アニメ本編には登場しませんでしたが、押井守関連作品という事を反映して描かれたものとおぼしき立ち喰い蕎麦屋風のカットもあったりして、山田先生の遊び心が楽しめます[36]。
「火狩りの王」の後、2025年から新たに角川文庫版での刊行がはじまった、日向先生の"ペンとインクの冒険ファンタジー"「アスタリット星国記」シリーズの装画もまた、山田先生が担当[37]。一枚の中に美しくも複雑な入れ子構造で作中のモチーフが散りばめられた1巻「ネバーブルーの伝説」の表紙絵は、近年の山田絵の中でも特に見習い書記官の中の人好みの作品です。きっとその原画も展示されると信じて、将来必ずや姫路文学館で開催されるであろう「日向理恵子展」を楽しみに待ちたいと思います。
【参考】日向理恵子「火狩りの王<四> 星ノ火」ほるぷ出版(単行本)
https://www.holp-pub.co.jp/book/b529239.html
【参考】ほるぷ出版「火狩りの王」特設サイト
http://holp.jp/hikari/
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□ Illustration06「小公子」
(◇Mostra di illustrazioni:装画(2020))
(** 透明水彩/コピック/UNIスタイルフィット)
「Illustration」のコーナーに最後に展示されていたのは、フランシス・ホジソン・バーネット著/川端康成訳の「小公子」新潮文庫版(2020年7月刊)の装画。新潮社のPR誌「波」2019年11月号に掲載された小野先生のインタビュー(同誌P37-38)の中で、小さい頃の泰麒のキャラクター造形に影響があった、と言及された事が発端となって新装復刊された――というエピソードは、「十ニ国記」ファンの方向けには今さら説明する必要もないでしょう。「『十ニ国記』山田章博原画展」に登場して当然、という一冊ですね。小野先生のインタビューの該当部分は本書の「帯」にも刷り込まれていましたが、姫路文学館ではこの「帯」も文庫現物とあわせて展示されていて、事情を知らない方でもなぜこの絵が展示されているのかがわかる、という実に行き届いた配慮がなされていたのでした。
会場内に掲げられた「Extra3」のバナーでは、山田先生の挿絵画家としての活動について、「山田が拓く世界は多岐にわたり、中国風、中東風、西洋風、日本、そして古代から現代、未来、さらには名作古典まで、あらゆるジャンルの物語を彩る。」とありました[38]。「小公子」は、この例示のなかでは「西洋風」の「名作古典」に当たるでしょうか。1886年(明治19年)にアメリカ・テネシー州で書き出された物語が、時代と場所を越境して、140年後の異国の地で読み継がれている。そしてその事に「十二国記」が少し関わっている。というのは、それ自体がなかなかロマンチックなエピソードですよね。もちろん山田先生としては、「あくまでも小公子です。」(「波」2020年7月号・表紙の筆蹟)というスタンスで、淡々と装画を描いていらっしゃるわけですけれど[39]。
【参考】川端康成訳「小公子」新潮文庫
https://www.shinchosha.co.jp/book/221405/
【参考】「波」2020年7月号
https://www.shinchosha.co.jp/nami/backnumber/20200627/
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□ 結び目-越境する漫画家・山田章博
というわけでここまで、姫路文学館での原画展とミュージカル「十ニ国記」のクロスオーバー企画として開催された、トークイベント「越境する〈十二国記〉―ミュージカルで表現する物語」になぞらえて、様々な場面で観測される山田先生のお仕事の<越境>の様子を、姫路「Extra3」を肴に粗書きしてきました。さすがにあちこちこじつけぎみなので、「それはちょっと無理ちゃうか?」という箇所もあるかと思われますが、お題優先であったという事でご容赦くださいませ。
よくご自身の職種を問われて「漫画家と呼んでもらいたい」とおっしゃっている気がする山田先生。しかし一方、雑誌「ATOM」#32に掲載されたインタビューでは、「キャリアの最初の頃、できるだけたくさんの場所に自分の絵が置かれる事を望んだ。何年もの間に、多くの種類の企画に参加した。しかし、おそらくまだ自分が知らない分野のメディアも存在する。もし誰かが申し出てくれる可能性があるなら、新しい事を試せるのはとても嬉しい。」とも語られていました(意訳)。「漫画家」である事を標榜しつつも、あるいはまさに「漫画家」であるが故に、そもそもの山田先生の志向そのものが<越境>的である様子が、この言葉からは掴み取れるように思われます。「怪獣小説全集」のところでちらりとご紹介した「胡蝶探記」の作中の言葉を借りれば、「冒険者は我を求めよ、その高潔の魂のみが蜜、我が生命の甘き蜜ぞ」と誘う胡蝶を追い、躊躇なく密林へと足を踏み入れる、その冒険者の魂をお持ちなのではないか――とまで言うと、いささか持ち上げすぎでしょうか。
資料として添えた関係年譜を見ていただくとお気づきになるかと思いますが、今回の姫路文学館では、「十二国記」と「Extra3」の原画展示、そしてそれに付随した書籍などの現物展示もあわせると、1981年のデビュー以降の山田先生のキャリアの、そのほとんどの年の絵が、それぞれ1点以上ずつ紹介される形となっていました(計45年中、実に41年分です)。原画展入口の「ごあいさつ」には「山田氏がその他に手がけた小説の装画・漫画原稿によって、多彩な筆致で数多の世界をかたちにしてきた創造の軌跡も追いかけます。」とありましたが、実際、「Extra3」はコンパクトながらも懐の深い展示内容で、うっかり「デビュー45周年記念原画展」の名を冠しても差し支えないと思われるような、非常によく練られたものとなっていたのでした。何度も足を運べたであろう地元の方がうらやましい限り。そんな素敵な原画展を開催してくださった姫路文学館のみなさまへの感謝とともに、この雑文を締めくくりたいと思います。
2026年5月31日 初音むつな(魔法使いの弟子の見習い書記官)
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■ 注記
はじめに
[01]姫路文学館で開催された「『十ニ国記』山田章博原画展(2025)」ついての総合的な情報は、別項でまとめています。
【参考】特別展「『十二国記』山田章博原画展(姫路・2025)」≪展示品一覧≫
https://yamadakawaraban.ninja-web.net/event2025_12himeji_list.html
[02]原画展はそのほとんどが撮影禁止でしたが、姫路文学館の公式SNSで会場内の様子が一部公開されています。「Extra3」にかかわるものは、下記の3つのPOST。
【参考】2025/10/17 →(twitter 姫路文学館/Extra3「Manga & Illustrations」について・その1)
https://x.com/himeji_bungaku/status/1978981085535928578
(**「Extra3」の「Illustration」側:小説本の現物展示写真)
【参考】2025/10/17 →(twitter 姫路文学館/Extra3「Manga & Illustrations」について・その2)
https://x.com/himeji_bungaku/status/1978985521687716193
(**「Extra3」の「Manga」側:漫画本の現物展示写真)
【参考】2025/12/14 →(twitter 姫路文学館/閉幕いたしました)
https://x.com/himeji_bungaku/status/2000116164891128141
(** 4点のうち左下が「Extra3」の「Manga」側の会場内写真)
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Manga01「おぼろ探偵帖」
[03]「『十ニ国記』イラストについて 小野不由美への十問十答」の初出は、雑誌「芸術新潮」2022年6月号(同誌P30-31)。後に、同誌の特集を書籍化した「『十ニ国記』絵師 山田章博の世界」(新潮社/2023年12月刊)(同書P24-27)に収録されました。
[04]新装版単行本のあとがき「おぼろ雑想帖 解題」によれば、「夜雀」というキャラクターは、山田先生が少年期に読んだ高知の妖怪ばなしがルーツ。雑想帖にある、山田少年が郷土資料館で手にした民間伝承の本というのは、土佐民話の会の機関誌「土佐の民話」の事ではないかと思われますが、1977年にはそこから妖怪ばなしが集成された書籍「土佐の妖怪」(市原麟一郎編/一声社)が刊行されています。この一冊を読む限りでは、山田漫画の「夜雀」のイメージは、「たもと雀」と「夜雀」というふたつのあやかしがミックスされたもののよう(同書「12 道に出る妖しの巻」参照)。つまりこのふたつのあやかしの素性をもつ「夜雀」は、山田先生の脳内で生成されたオリジナルの妖怪という事になりますね。
【参考】"国立国会図書館デジタルコレクション"「土佐の妖怪」
https://dl.ndl.go.jp/pid/12468183 (** 個人送信サービスで閲覧可能)
[05]映画「怪談本所七不思議」については、Webサイト「新東宝データベース1947-1962」に詳しい。ちなみに娘姿の長兵衛狸を演じたのは橘美千子さん。
http://nipponeiga.com/shintoho/film/1957/19570710b.php
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Manga02「人魚變生」
[06]同人誌「ZOO」Vol.3と雑誌「ALLAN」第7号は、大阪府立中央図書館 国際児童文学館に収蔵されていますので、両者を比較検討してみたいという向きはそちらをご活用あれ。なお、「ALLAN」第7号に掲載された際の「人魚變生」の冒頭4ページ(同誌P81-84)は、たいへん美麗なカラー画稿。単行本では、今のところモノクロでの収録のみなのが残念ですね。
【参考】"大阪府立中央図書館 国際児童文学館 OPAC"「ZOO」Vol.3
https://www.library.pref.osaka.jp/bibj/?B16758594
【参考】"大阪府立中央図書館 国際児童文学館 OPAC"「月刊OUT」5巻19号(通巻79号)
https://www.library.pref.osaka.jp/bibj/?B16833307
[07]「えけれしゃ」は、当時の山田先生のファンクラブであった山田章博後援会「天空人」の会誌。Vol.1では、巻頭の「特集 人魚變生」の中に「どちらがお好き ZOO VOL.3 vs ALLAN VOL.7」(同誌P6-7)という企画ページが設けられ、同人誌版と雑誌版のコマの比較検証がおこなわれていました。
▲ to M02
Manga03「百花庭園の悲劇」
[08]雑誌「グレープフルーツ」掲載時と青心社版の単行本では、この連載第1回にあたるページが2色刷りになっています。しかし色の表現は、原画と出版されたものでは必ずしも一致していません(製版段階で色が乗せられた部分もあるため)。今回の展示では、主人公ダグの髪の色が漫画原稿上ではアッシュグレー風味で表現されていた事などを確認する事ができました。
[09]ブルガリアの芸術家クリスト・ジャヴァチェフ(Christo Vladimirov Javacheff)のプロジェクト「Surrounded Islands」の「百花庭園の悲劇」への影響については、新書館版の単行本あとがき「作者のページ」(同書P149)で明かされています。
[10]京都を巡る幻想的な絵物語「ふぁんたすてぃか」は、新書館版「百花庭園の悲劇」の1年後、1985年12月に刊行されました。そのあとがきには、「アーティスティックなところが一片もない下手くそな絵と物語」という有名な一文が挿入されているのですが、これは実のところ「ふぁんたすてぃか」製作に先立ち山田先生が鑑賞した、京都市立美術館の企画展「マチス、ミロ、ピカソら巨匠による『近代の插絵』Modern Illustrated Books」(1985年5月~6月)の作品群と"比較して"――という意を織り込んだ自嘲だと思われるのでありました。
▲ to M03
Manga04「ラストコンチネント」
[11]令和00年代・2020年代現在の視点では、「昭和」といえば1980年代あたりを指す言葉になっている雰囲気ですが、「ラスコン」を「昭和浪漫空想科学社会派冒険大活劇」と編集部が銘打った1985年(昭和60年)当時は、「昭和」といえば昭和30年代あたりを指す言葉でした。このあたり、歳月を経た言葉の変遷という意味でなかなか味わいがあります。
[12]雑誌「SFマンガ(競作)大全集」が転じた「WHAT」誌の創刊にあわせての新連載となり、雑誌表紙を新創刊からの3号連続で飾るなど鳴り物入りでスタートした「ラスコン」でしたが、当時の山田先生のファンクラブ「不思議工房」の会誌「山田章博探検隊」Vol.2(1985年9月刊)を紐解くと、読者の反応が悪く、すでに第4回分の原稿が完成していたにもかかわらず、連載を一旦中断して急遽読切を描かなければならなくなってしまった由(同誌P22)。そこで大急ぎで描かれたのが、「WHAT」1985年9月号に掲載された、かの名作「夏人記」だったようです(「夏人記」は、のちに単行本「夢の博物誌」収録)。
[13]「ラストコンチネント」が実は3部作構想だった件の詳細は、ファンサイト「山田章博 作品目録」(運営:砥部粧さん)の掲示板6~7枚目に。この情報が書き込まれた1999年は、日本エディターズ版の全1巻本が刊行されるという時期でした。
【参考】"山田章博 作品目録"
http://hako19980222.g1.xrea.com/index.html (** 該当ページへは「掲示板」→「元メインの過去ログ」)
[14]1986年11月刊の「COMICムー」は雑誌「ムー」の別冊。というわけで発行元は学研でしたが、編集は「SFマンガ競作大全集」や「WHAT」「空想科学大冒険活劇競作大全集」「漫画夢の博物誌」と同じ編集プロダクションの「STUDIO IWAO」が担当していました(「エヴァンス夫人の失踪」も、のちに単行本「夢の博物誌」収録)。
【参考】"大阪府立中央図書館 国際児童文学館 OPAC"「COMICムー」
https://www.library.pref.osaka.jp/bibj/?B16563488
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Manga05「紅色魔術探偵団」
[15]雑誌「ATOM」#32掲載のインタビューについては、別項にて概要をまとめています。
https://yamadakawaraban.ninja-web.net/encre_de_verite.htm
[16]小野先生と山田先生の初顔合わせの情景については、2002年に刊行された「山田章博画集」(中央公論新社)あとがきの「魔性の子」の項などで、すでに文章として書き出されてはいます。「これがその『小説家と挿絵画家』なのだ」と言われれば、それはそうかもしれません。でも、山田先生は絵描きなので、やっぱり「絵」でも見てみたいですよね。
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Manga06「鋼鉄のパンドラ」
[17]山田章博画の「機甲界ガリアン」は、1998年4月に発売された「メモリアルLD-BOX」のジャケットの1枚として描き下ろされたもの。2008年10月にDVD-BOX化された際には、このジャケット画は付録のブックレットに収録されました。
[18]山田章博画の「デビルマン」は、2014年12月刊の業界誌「アニメビジエンス」Vol.06の表紙絵として描き下ろされたもの。「アニメビジエンス」の編集発行人・真木太郎氏とは、その後2026年公開の「機動警察パトレイバーEZY」(山田先生がコスチュームデザイン協力)で、再び接点が生じる事となりました。
【参考】"国立国会図書館サーチ"「アニメビジエンス」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I026416789
[19]こうした「版権もの」の最新作と言えそうなのが、2021年9月刊の「諸星大二郎 デビュー50周年記念 トリビュート」(河出書房新社)に掲載された短編「暗黒神話 の45年遅い 予告篇 もどき」。やや軽い雰囲気のタイトルに相違して、2026年現在の漫画最新作にあたる本作は、山田先生の漫画技術が存分に投入された意欲作。まだご覧になった事のない方は、ぜひご一読を。
【参考】「諸星大二郎 デビュー50周年記念 トリビュート」(河出書房新社)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309291628/
[20]単行本「機巧亭茶館(からくりていちゃかん)」は、「BAMBOO HOUSE」(1983)/「カフェ・ド・マキニカリス」(1985)/「ボーナス・トラック」(1999)という3冊の単行本収録作から新たに編み直された一冊。なお、「機巧亭」で単行本初収録となった「海辺の音楽」は、もともと1977年6月刊の同人誌「乱葉」創刊号(大阪経済大学・漫画倶楽部「飛行舎」)に掲載されたもので、実は山田章博先生の(関西同人誌シーンへの)真のデビュー作とも呼べる一篇なのでした。
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Manga07「夢の博物誌」
[21]1990年代初頭の単行本未収録短編作品には、たとえば「コミックGiga」1991年第3号(主婦と生活社)掲載の「Big Black Maria ビッグ・ブラック・マリア」(1991年1月/計20ページ)、「コミックガイア」№10(青心社)掲載の「鵺-ヌエ-」(1992年7月/計6ページ)、「コミックアクションシティ」Vol.1(司書房)掲載の「ANDROGENA OF CITY BIZARRE-アンドロジーナ オブ シティ ビザール-」(1992年7月/計16ページ)などがあります。
【参考】"国立国会図書館サーチ"「Giga 2(3)(15)」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000074053-d1832534
【参考】"国立国会図書館サーチ"「コミックガイア(10)」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000076150-d1845282
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Manga08「BEAST of EAST -東方眩暈録-」
[22]単行本「BofE」の「帯」には、1巻:朝松健先生、2巻:小野不由美先生、3巻:森博嗣先生、4巻:田中芳樹先生という錚々たる面々による推薦文が刷り込まれています。増刷された場合も、あるいは出版社が変わった場合も、長らく同じ帯が装備されていたという極めて珍しい刊行形態の本なので、帯付のものを探すのにそれほどの苦労はないハズ…です。
[23]「BofE」連載第一話とともに雑誌「コミックバーガー」1995年12月号に掲載された記事「making of BEAST of EAST」(同誌P13-14)に、『昭和43年日本動画KK制作の漫画映画版「九尾の狐」』(=「九尾の狐と飛丸」)についての言及があります。このアニメ映画、DVD化はおろかビデオ化もされていない幻の作品なのですが、貴重な16㎜フィルムが都立多摩図書館に所蔵されていて、時折有志による上映会が開催されています。
[24]参考にされている作品は色々ありそうですが、たとえば3巻のP89-90でやや唐突に語られる「さいの神」の逸話などは、幸田露伴の「平将門」にある一文から着想を得たもののように思われます。
【参考】"青空文庫" 幸田露伴 平将門
https://www.aozora.gr.jp/cards/000051/files/3199_15048.html
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絵師 山田章博の画材
[25]山田先生の使用した「画材」について、1980~90年代にかけて記録された主な資料には、下記のようなものがあります。
【1980年代】
・1982年09月:雑誌「ぱふ」1982年10月号 *09/初旬
(** P109-111:インタビュー「薄闇の世界より」/この頃は絵描き用の道具として「面相筆とガラスぺンを併用」とある。)
【1990年代】
・1995年11月:雑誌「コミッカーズ」1996年冬号 *11/25
(** P53:アンケート「プロが愛用する画材はこれだ!」)
・1996年08月:雑誌「コミッカーズ」1996年秋号 *08/24
(** P39-41:密着取材「山田先生のMaking of the COVER」/伝説の「スミ入れはなんと下描きを見ながらの一発描き!」は、この記事内に登場。)
・1996年12月:雑誌「ザ・スニーカー」1997年2月号 *12/27
(** おそらくこの号から「コピック」の使用を開始。/巻末の近況報告に「今まで手軽な水彩ばかり使ってきましたが、これからは色々な画材に挑戦していきたい。今回がその第一弾。」との記述がある。)
・1997年10月:MOOK「色彩王国」*10/下旬
(**「コミッカーズ」1996年冬号・秋号の記事を再編集。)
・1998年06月:MOOK「色彩王国2」*06/下旬
(** P32:column「私の好きな色」)
・1998年12月:雑誌「コミッカーズ」1999年冬号 *12/03
(** P59:アンケート「プロの使っているマンガの道具はコレだ!!」)
・1999年11月:MOOK「色彩王国3」*11/上旬
(** P66:column「はじめての筆選び」)
・2000年02月:書籍「マンガスタートアップガイド ペン&インク」*02/中旬
(**「コミッカーズ」1999年冬号のアンケート記事を再編集。)
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Illustration02「怪獣小説全集」
[26]中央公論新社刊「山田章博画集」あとがきの「怪獣小説全集」の項では、この画稿の脱稿後にずらす事のできない対談がセッティングされていて、そのため2枚で計8時間しか用意できなかった旨が記されています。この対談というのは、雑誌等への掲載時期を勘案すると、おそらくは1994年3月刊の「The Sneaker」'94 Springの特集記事「竹河聖の華麗なる伝説」の中で企画された鼎談「私たち三人の不思議な関係」(同誌P20-25)の事。竹河聖先生、いのまたむつみ先生という超売れっ子おふたりが顔を揃えてお待ちになっていたのですから、なるほどこれは確かにずらせない。お三方の話の中では、その後間もなく連載開始となる「荒神紀 アラバキ」についても語られていますが、すると鼎談直前に描き上がった「怪獣小説全集」というのは、やはりこの怪獣漫画の先遣であったのだろう――と、ひとりうなずく見習い書記官の中の人でありました。
[27]刊行がほぼ同時期で、出版社も同じである事から、「月ぞ悪魔」と「怪獣総進撃」「怪獣大戦争」の3点は、兄弟姉妹的な関係にある絵と考えて差し支えなさそうです。
[28]南條竹則先生の「書中に女有り」、その第2回は雑誌「小説すばる」1996年6月号に掲載されました(同誌P277-280)。この回は、現代教養文庫の「『妖蝶記』香山滋傑作選Ⅲ」を底本に「キキモラ」「海鰻荘奇談」が紹介されたもの。添えられたイラストは、その後、中央公論新社刊「山田章博画集」に3点とも収録されています(同画集P72右下/P78上/P74左上)。
[29]山田章博先生が描く平安建都千二百年祭の京都を舞台にした怪獣漫画「荒神紀 アラバキ」は、雑誌「コミックトム」1994年6月号から1996年5月号まで、計19回連載されました(途中入院による中断あり)。物語は一応最後まで描かれていて、2002年には上下巻での単行本化の告知が出た事もありましたが(2002年6月25日付での刊行予定でISBNまで付番されていました)、連載完結30周年(!)を迎える2026年現在も、残念ながら単行本にはまとまっておらず、幻の一作となっています。
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Illustration03「ドリームバスター」
[30]中平正彦先生のコミック版「ドリームバスター」(徳間書店/リュウコミックス)、内容的には原作小説の既刊4巻までが全7巻でコミカライズされているのですが、終盤でパラレルな展開をみせ、物語は一応結末まで描かれています。
[31]このほか、2006年3月には「大航海時代 Online」にコラボ企画として「ドリームバスター」が登場。シェンとマエストロはネットゲームにも越境していました。内容は、謝肉祭で賑わうヴェネツィアでゲームプレイヤーと「DB」の登場人物が力を合わせて事件解決を目指す――というLIVEイベントで、シナリオ監修をゲーム好きで知られる宮部先生ご本人が担当するという、なかなか力の入ったものだったようです(詳しくは、下記の「GAME Watch」の記事や、雑誌「ログイン」2006年5月号の記事「大航海時代 Online/世界ウルルン漂流記(第13回)」(同誌P132-133)などを参照のこと)。
【参考】"GAME Watch"「大航海時代 Online」内で「ドリームバスター3」発売記念イベント
https://game.watch.impress.co.jp/docs/20060224/dol.htm
▲ to I03
Illustration04「アルスラーン戦記」
[32]コミック版「アルスラーン戦記」を描く荒川弘先生と小説版のイラストを担当する山田章博先生、それ以前の接点はあまりないんですが、実はおふたりの絵が一緒に掲載された本がかつて1冊刊行されていました。1999年に発売された、PlayStation版「西遊記」の関連書「西遊記解体新書」(マジック・モンキーズ編/コーエー)がそれ。こちらでは、表紙を山田先生がゲームの人物紹介用に描いた孫悟空が飾り、本文中では「第1部・西遊記ストーリーダイジェスト」の挿絵を(デビュー直後の)荒川先生が手掛けているのでした。
【参考】"国立国会図書館サーチ"「西遊記解体新書」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002851221
[33]実は姫路文学館では、もしかしたらそのような両者の関係の傍証となるような1枚が展示されていました。それは、第2会場の「十ニ国記/EPISODE8」の冒頭に置かれた「黄昏の岸 暁の天」の表4のラフ画。これをじっと眺めていますと、描かれた天馬(飛燕)の背景に、うっすらと消された鉛筆線の痕跡が見えてきます。はっきりと認識できるのは、右手で刀を振り上げるような動作と、金属の鎧のようなものを装着した左右の足先。そしてどうも武人らしいその人物の装いは、中華風というよりは中東風のよう。もちろん「確実にそう」と断言できる証拠は何もありませんが、この1枚の紙は、アルスラーン戦記にまつわるラフ画が描かれた後、十ニ国記のラフ画用に転用されたもの、という"可能性"があります(時期的には「黄昏の岸 暁の天」が刊行されたのは2014年3月の事でしたが、「アルスラーン戦記」の方はこれを挟む形で5巻「征馬孤影」が2013年12月に、そして6巻「風塵乱舞」が2014年6月に刊行されています)。使われていたのがトレーシングペーパーのような用紙なので、わざわざ一度描いたものを消してぜんぜん違う作品のラフに使う――というのは、言い出しておきながらも「そんな事ある?」という感じではあるのですが、飛燕の前にまったく別の絵が描かれていたのは事実。いつもさまざまな作品に同時進行でとりかかっていらっしゃる山田先生の仕事場では、もしかしたらそんな事は日常的に起こっているのかも…と、妄想の膨らむ見習い書記官の中の人なのでした。飛燕のラフ画、また展示される機会がありましたら、じっくりとご検分あれ。
[34]ちなみに「アルスラーン戦記」の「装画」については、かつて1巻から14巻までが一同に会して展示されるという豪華な企画がありました(しかも入場無料で)。その舞台となったのは、2018年12月の東京の百貨店「日本橋三越本店」の7階。「ペルシャ絨毯の世界 ~ひと織に込める意匠~」と銘打たれた催事とのコラボ企画で、カッパノベルス版の丹野先生のイラストと光文社文庫版の山田先生のイラストが、数十枚のペルシャ絨毯とともに老舗百貨店のフロアに並ぶという、非常にユニークな光景が展開されたのでした。
【参考】twitter 光文社文芸図書編集部/2018年12月18日付/展示の様子
https://x.com/bungeitosyo/status/1074892743233568768
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Illustration05「火狩りの王」
[35]日向先生がご当地作家という観点で、今回姫路を訪問してみて特に印象的だったのは、文学館・南館の事。実は「火狩りの王」を読んでいて、"天窓"のある中央書庫という建物がちょっと不思議でした(書籍の保管場所は直射日光を避けるものという先入観があったので)。しかし司馬遼太郎記念室から、安藤建築らしいコンクリート打ちっぱなしの階段をあがった南館2階の図書室で天井を見上げると、そこにはなんと"天窓"が。「なるほどこういうイメージだったのか!」と、見習い書記官の中の人は膝を打つ事となったのでした。
[36]アニメ版「火狩りの王」で構成・脚本を担当した押井守氏が、さらに絵コンテまで担当したのは第14話「埋火」(他の回の絵コンテは監督の西村純二氏が担当)。火狩りの犬たちの動きが他の回とはかなり違って見えるあたり、さすがは犬好きの押井監督という仕上がりになっていましたね。
[37]「アスタリット星国記」シリーズは、まず2023年に単行本で「ネバーブルーの伝説」が単巻出版されましたが(この時の装画担当は、吉田ヨシツギ先生)、これが2025年に新たにシリーズ名を冠して角川文庫化。第2巻にあたる「ミッドレッドの約束」は、文庫描き下ろしでの刊行となりました。「ミッドレッド」の第5章、P157から160ページのユキタムとノチセの"ペン"にまつわる愉快なやり取りが、見習い書記官の中の人的には特にお気に入りの場面。単行本「ネバーブルー」刊行の際のインタビューの段階で、日向先生は「閉幕を見届けた」とおっしゃっていましたが、しかしおそらく、まだ物語は終わっていません。シリーズの続巻が待たれるところです。
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Illustration06「小公子」
[38]「Extra3」のバナーに刷り込まれた「Manga & Illustrations」の解説文、内容的には「山田章博のWhat a Wonderful World! Ⅰ 解説編」のダイジェストという雰囲気ではありますが、45年にわたる山田先生の多彩な画業が切れ味よくまとまっていただけでなく、「さすがは文学館!」という格調高いものでした。この名文、「絵師 山田章博の画材」ともども、どこかで紙上に残ると嬉しいのですが。
[39]山田先生がそう思って描かれていても、話の流れの上では、やはりセドリックにちび泰麒の面影を幻視してしまうのは、致し方ないようには思われますよね。ところで同じように、かつて泰麒の面影を重ねられた少年がおりました。名をアレクシスⅡ世。セガサターン用の中世ヨーロッパ風シミュレーションRPG「テラ ファンタスティカ」(1996年12月発売)に登場するキャラクターです。10歳で国王の座に就く事となったこの金髪の少年と、記憶を失い公国に現れた謎の女性の邂逅が物語の発端。ふたりは協力して魔国から公国を守るべく、いくつもの戦場を駆ける事となるのですが、さて、山田先生がキャラクターデザインを手掛けたこのゲーム、ジャケットには白馬を駆る謎の女性ディーネと少年王アレクシスⅡ世の姿が描かれています。これが、見方によっては景麒に乗った景王と泰麒に見えなくもない。陽子が泰麒を育成するゲーム――と、当時話題になっていたとかいないとか。そんなウワサ話を、1997年に刊行された同人誌で見かけた事をうっかり思い出しましたので、余録としてここに書き記しておきたいと思います。ちび泰麒、アレクシスⅡ世、そしてセドリック。3人とも、山田先生が描く高貴な少年像の基本形、といったところでしょうか。
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■ 関係年譜 Cronologia
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
(* 橙色は「Extra3」で原画展示のあったもの)
(* 緑色は「Extra3」で書籍現物展示のあったもの)
(* 桃色は「十ニ国記」関連で展示のあったものから一部をピックアップ)
(** 展示品以外については、本稿に関連したものを中心に立項しています。)
1970年代
【1979年(昭和54年)】
1979年05月:同人誌「ZOO」Vol.3(「人魚變生」掲載)*05/30
(◇Mostra di manga:同誌 P83/幻冬舎版 P33)
1980年代
【1980年(昭和55年)】
1980年04月:同人誌「ZOO」Vol.4「魔法使いの弟子」掲載)*04/01
(**「小悪魔」登場)
【1981年(昭和56年)】
1981年03月:雑誌「阿蘭」(「ぱだんぱだん」掲載)*03/05
(** 商業誌デビュー作/「阿蘭」=「ALLAN」第3号)
1981年11月:雑誌「ALLAN」第7号(「人魚變生」掲載)*11/05
(◇Mostra di manga:同誌 P111/幻冬舎版 P33/**「ZOO」版画稿に手描きセリフ修正あり)
【1982年(昭和57年)】
1982年02月:雑誌「マンガ宝島」(「影夫人異聞」掲載)*02/10
(**「夜雀」登場)
1982年04月:単行本『人魚變生』(東京三世社/マイコミックス)*04/下旬
【1983年(昭和58年)】
1983年10月:雑誌「グレープフルーツ」第12号(「百花庭園の悲劇」(連載第1回)掲載)*10/10
(◇Mostra di manga:同誌 P112-117/幻冬舎版 P14-19/**2色カラー画稿)
【1984年(昭和59年)】
1984年04月:雑誌「グレープフルーツ」第15号(「百花庭園の悲劇」 Vol.5(連載第4回)掲載)*04/10
(◇Mostra di manga:同誌 P224/幻冬舎版 P84)
1984年12月:単行本『百花庭園の悲劇』(新書館)*12/15
(** 小野不由美 meets 山田漫画/B5判の単行本)
【1985年(昭和60年)】
1985年07月:雑誌「WHAT」1985年8月号(「ラストコンチネント」(連載第3回)掲載)*07/06
(◇Mostra di manga:同誌 P173/幻冬舎版 上巻P73)
【1986年(昭和61年)】
1986年03月:書籍「ウェスタン武芸帳1 異西部の剣士」菊地秀行(朝日ソノラマ/ソノラマ文庫)*03/31
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
【1987年(昭和62年)】
1987年03月:書籍「ウェスタン武芸帳2 アリゾナ剣銃風」菊地秀行(朝日ソノラマ/ソノラマ文庫)*03/31
1987年11月:書籍「真幻魔大戦1 ビッグプロローグ」平井和正(角川書店/角川文庫)*11/25
(** 解説:小説家と挿絵画家)
【1988年(昭和63年)】
1988年02月:単行本『ラストコンチネント Part2』(東京三世社)*02/中旬
(◇Mostra di manga:同書 P74-75/幻冬舎版 下巻P76-77)
1988年04月:書籍「ウェスタン武芸帳3 無法街決闘伝」菊地秀行(朝日ソノラマ/ソノラマ文庫)*04/30
1988年07月:雑誌「クレッセント」No.1(「紅色魔術探偵団」大襲来!お笑い宇宙大戦争 掲載)*07/中旬
(◇Mostra di manga:同誌 P32/幻冬舎版 P128/** 単行本では第7話)
【1989年(昭和64年/平成元年)】
1989年08月:単行本『紅色魔術探偵団』(学習研究社/ノーラコミックス)*08/07
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1990年代
【1990年(平成2年)】
1990年01月:雑誌「漫画夢の博物誌」①(「おぼろ探偵帖」(連載第1回)掲載)*01/中旬
(◇Mostra di manga:同誌 P22-23/幻冬舎版 P22-23/** 単行本では「第一話 東京宵闇三途恋塚」)
1990年09月:雑誌「漫画夢の博物誌」⑤(「おぼろ探偵帖」第3話 百物語後日返報(連載第4回)掲載)*09/中旬
(◇Mostra di manga:同誌 P24-25/幻冬舎版 P100-101)
【1991年(平成3年)】
1991年03月:単行本『おぼろ探偵帖』(東京三世社)*03/15
(** 小野不由美愛読/A4判の単行本)
1991年07月:雑誌「SFアドベンチャー」1991年9月号(「地球樹の女神」平井和正:第3部イマジン 第2回掲載)*07/26
(**「ストロー・ハットとデッキチェアーをもう一度」で紅色の宇宙大戦争回をオマージュ/単行本では「PART11 イマジン」収録)
1991年09月:書籍「魔性の子」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*09/25
1991年11月:雑誌「エリアルコミック」Act6(「鋼鉄のパンドラ」掲載)*11/下旬
(◇Mostra di manga:同誌 P6/幻冬舎版「機巧亭茶館」P8)
【1992年(平成4年)】
1992年06月:書籍「月の影 影の海(上)」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*06/20
1992年07月:書籍「月の影 影の海(下)」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*07/20
【1993年(平成5年)】
1993年03月:書籍「風の海 迷宮の岸(上)」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*03/20
1993年04月:書籍「風の海 迷宮の岸(下)」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*04/20
1993年12月:書籍「怪獣小説全集Ⅰ 怪獣総進撃」香山滋・福島正美(出版芸術社/単行本)*12/20
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
1993年12月:書籍「怪獣小説全集Ⅱ 怪獣大戦争」黒田健・吉田誠・小林晋一郎(出版芸術社/単行本)*12/20
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
【1994年(平成6年)】
1994年06月:書籍「東の海神 西の滄海」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*06/05
1994年08月:書籍「風の万里 黎明の空(上)」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*08/05
1994年09月:書籍「風の万里 黎明の空(下) 十ニ国記」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*09/05
【1995年(平成7年)】
1995年01月:イベント「ファンタジーRPGイラストレーション展」(滋賀「滋賀県立近代美術館」)*01/05~02/19
(** 原画展示あり)
【1996年(平成8年)】
1996年02月:書籍「図南の翼 十ニ国記」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*02/05
1996年11月:雑誌「コミックバーズ」1997年1月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第八回掲載)*11/26
(◇Mostra di illustrazioni:扉絵/同誌 P309/絵巻眩暈誌 P14)
【1997年(平成9年)】
1997年02月:雑誌「コミックバーズ」1997年4月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第11話掲載)*02/26
(◇Mostra di manga:同誌 ×P306-307/幻冬舎版 1巻P146-147)
1997年04月:雑誌「コミックバーズ」1997年6月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第12話掲載)*04/26
(◇Mostra di manga:同誌 P311-312/幻冬舎版 1巻P168-169)
1997年05月:雑誌「コミックバーズ」1997年7月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第13話掲載)*05/26
(◇Mostra di illustrazioni:扉絵/同誌 P313/絵巻眩暈誌 P4)
1997年06月:CD「東の海神 西の滄海 十ニ国記」(講談社/X文庫CDブック)*06/17
(** 付録小冊子「漂舶」)
1997年06月:CD「ドラマCD 魔性の子」(マーキュリーミュージック)*06/25
1997年07月:イベント「ドラマCD『東の海神 西の滄海 十ニ国記』発売記念原画展」(京都「アニメイト京都」)*07/02~07/13
(** 原画展示あり/ドラマCD化記念企画)
【1998年(平成10年)】
1998年08月:単行本『BEAST of EAST ~東方眩暈録~1』(スコラ/バーガーSCデラックス)*08/29
(◇Mostra di illustrazioni:装画+装画背景)
【1999年(平成11年)】
1999年09月:雑誌「コミックバーズ」1999年10月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第28話掲載)*09/11
(◇Mostra di manga:同誌 P442-443/幻冬舎版 2巻P120-121)
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2000年代
【2000年(平成12年)】
2000年09月:単行本『BEAST of EAST ~東方眩暈録~2』(ソニー・マガジンズ/バーズコミックスデラックス)*09/29
(◇Mostra di illustrazioni:装画+装画背景)
2000年12月:雑誌「コミックバーズ」2001年1月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第35話掲載)*12/12
(◇Mostra di illustrazioni:扉絵/同誌 P359/絵巻眩暈誌 未収録)
【2001年(平成13年)】
2001年01月:雑誌「週刊アスキー」2001年1月23日号(「ドリームバスター」宮部みゆき:連載第1回掲載)*01/09
(** 2001年4月24日号まで「ファースト・コンタクト」を計14回で週刊連載/電子雑誌「e-NOVELS」と同時連載)
2001年05月:書籍「黄昏の岸 暁の天(上) 十ニ国記」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*05/15
2001年05月:書籍「黄昏の岸 暁の天(下) 十ニ国記」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*05/15
2001年09月:書籍「華胥の幽夢 十ニ国記」小野不由美(講談社/X文庫ホワイトハート)*09/05
2001年11月:書籍「ドリームバスター」宮部みゆき(徳間書店/単行本)*11/16
2001年11月:グッズ「十二国記カレンダー2002」(講談社)*11/中旬
【2002年(平成14年)】
2002年03月:イベント「十ニ国記の世界展(2002)」(東京「アニメイト池袋新本店」8階)*03/30~04/08
(** 原画展示あり/アニメ化記念企画/その後、名古屋・京都・立川・豊橋に巡回)
2002年04月:TV Animation「十ニ国記」月の影 影の海 一章(NHK BS2)*04/09
(** 以降、2002年07月16日までの間に「月の影 影の海」全13章+転章を放送)
2002年04月:画集『山田章博画集』(中央公論新社)*04/25
(** 小説の装画・挿絵を中心にまとめられた画集)
2002年09月:TV Animation「十ニ国記」風の海 迷宮の岸 一章(NHK BS2)*09/03
(** 以降、2002年10月22日までの間に「風の海 迷宮の岸」全6章+転章+書簡を放送)
2002年09月:単行本『BEAST of EAST ~東方眩暈録~1』(幻冬舎コミックス/バーズコミックスデラックス)*09/24
2002年09月:単行本『BEAST of EAST ~東方眩暈録~2』(幻冬舎コミックス/バーズコミックスデラックス)*09/24
2002年10月:DVD「『十ニ国記』月の影 影の海 第1巻」(ポニーキャニオン)*10/17
(** 以降、2004年02月18日までの間にシリーズ全16巻を発売)
2002年10月:TV Animation「十ニ国記」風の万里 黎明の空 一章(NHK BS2)*10/29
(** 以降、2003年03月11日までの間に「風の万里 黎明の空」全16章+転章を放送)
2002年11月:グッズ「十二国記カレンダー2003」(講談社)*11/29頃
【2003年(平成15年)】
2003年01月:雑誌「コミックバーズ」2003年2月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第46話掲載)*01/11
(◇Mostra di illustrazioni:扉絵/同誌 P229/絵巻眩暈誌 P32)
2003年01月:DVD「『十ニ国記』月の影 影の海 第4巻」(ポニーキャニオン)*01/16
(** 姫路原画展カットアウトパネルの尚隆&六太がジャケット)
2003年02月:CD「『十ニ国記』CDドラマ 夢三章」(ビクター)*02/21
2003年03月:DVD「『十ニ国記』風の海 迷宮の岸 第1巻」(ポニーキャニオン)*03/19
(** 姫路原画展カットアウトパネルの泰麒&白汕子がジャケット)
2003年03月:書籍「ドリームバスター2」宮部みゆき(徳間書店/単行本)*03/31
2003年04月:イベント「十ニ国記の世界展(2003)」(東京「K-Square」講談社1階)*04/01-04/06
(** 原画展示あり/NHK教育でのアニメ放送開始記念企画/04/06に「十二国記の集い」開催)
2003年04月:TV Animation「十ニ国記」月の影 影の海 一章(NHK教育)*04/08
(** NHK教育での放送スタート)
2003年07月:TV Animation「十ニ国記」乗月(NHK BS2)*07/05
(** 以降、2003年08月23日までの間に乗月+「東の海神 西の滄海」全4章+転章を放送)
2003年11月:グッズ「十二国記カレンダー2004」(講談社)*11/27
【2004年(平成16年)】
2004年10月:書籍「十二国記 公式アニメガイド」(講談社)*10/13
(** 装画は「十二国記カレンダー2005」表紙と共通)
【2005年(平成17年)】
2005年11月:グッズ「十二国記カレンダー2006」(講談社)*11/25
【2006年(平成18年)】
2006年03月:書籍「ドリームバスター3」宮部みゆき(徳間書店/単行本)*03/17
2006年03月:雑誌「コミックバーズ」2006年5月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第51回掲載)*03/30
(◇Mostra di manga:同誌 P154/幻冬舎版 3巻P162)
2006年07月:イベント「山田章博展~幻想空間へのいざない~」(高知「横山隆一記念まんが館」)*07/15~09/24
(** 原画展示あり/「前期」07/15~08/20と「後期」08/22~09/24で展示替え)
(*** 08/06開催のトークイベントの中で「新幹線の中で描いた絵」が存在する事が話題に。)
2006年09月:書籍「『十二国記』ポストカードブック」(講談社)*09/05
【2007年(平成19年)】
2007年03月:単行本『BEAST of EAST ~東方眩暈録~3』(幻冬舎コミックス/バーズコミックスデラックス)*03/24
(◇Mostra di illustrazioni:装画+装画背景)
2007年05月:書籍「ドリームバスター4」宮部みゆき(徳間書店/単行本)*05/18
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
【2008年(平成20年)】
2008年01月:雑誌「コミックバーズ」2008年3月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第五十五回掲載)*01/30
(◇Mostra di manga:同誌 P140-141/幻冬舎版 4巻P64-65)
2008年03月:書籍「THE TWELVE KINGDOMS:SEA OF WIND」小野不由美(TOKYO POP)*03/11
(** 英訳版「風の海 迷宮の岸」/ハードカバー版)
【2009年(平成21年)】
2009年10月:Blu-ray「『十ニ国記』Blu-ray BOX1 月の影 影の海」(ジェネオン・ユニバーサル)*10/23
(** 付録ミニドラマCD「十二国記 赤楽篇」)
2009年12月:Blu-ray「『十ニ国記』Blu-ray BOX2 風の海 迷宮の岸」(ジェネオン・ユニバーサル)*12/23
(** 付録ミニドラマCD「十二国記 弘始篇」)
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2010年代
【2010年(平成22年)】
2010年04月:Blu-ray「『十ニ国記』Blu-ray BOX3 風の万里 黎明の空」(ジェネオン・ユニバーサル)*04/21
(** 付録ミニドラマCD「十二国記 平成篇」)
2010年09月:Blu-ray「『十ニ国記』Blu-ray BOX4 東の海神 西の滄海」(ジェネオン・ユニバーサル)*09/23
(** 付録ミニドラマCD「十二国記 大元篇」)
【2011年(平成23年)】
2011年02月:雑誌「コミックバーズ」2011年4月号(「BEAST of EAST ~東方眩暈録~」第五十九回掲載)*02/28
(◇Mostra di manga:同誌 P356-357/幻冬舎版 4巻P168-169)
2011年04月:イベント「山田章博-世界を生み出す魔法の筆-展」(京都「京都国際マンガミュージアム」)*04/29~06/05
(** 原画展示あり/「前期」04/29~05/17と「後期」05/19~06/05で展示替え)
(*** 図録の中で「新幹線の中で描いた絵」がWH版「風の海 迷宮の岸(下)」装画であった事が判明。)
(*** Youtube掲載の動画「ライブドローイング」は、この原画展の関連企画)
2011年08月:『BEAST of EAST ~東方眩暈録~4』(幻冬舎コミックス/バーズコミックスデラックス)*08/24
(◇Mostra di illustrazioni:装画+装画背景)
【2012年(平成24年)】
2012年04月:書籍「アルスラーン戦記1 王都炎上」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*04/12
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2012年06月:書籍「魔性の子 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*06/27
2012年06月:書籍「月の影 影の海(上) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*06/27
2012年06月:書籍「月の影 影の海(下) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*06/27
2012年08月:書籍「アルスラーン戦記2 王子二人」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*08/08
2012年09月:書籍「風の海 迷宮の岸 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*09/28
2012年12月:書籍「アルスラーン戦記3 落日悲歌」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*12/06
(◇Mostra di illustrazioni:口絵)
2012年12月:Digital 「『十ニ国記』の日(2012)」(楽俊・陽子)*12/12
2012年12月:書籍「東の海神 西の滄海 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*12/26
【2013年(平成25年)】
2013年03月:書籍「西遊記」小沢章友(講談社/青い鳥文庫)*03/15
2013年03月:書籍「風の万里 黎明の空(上) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*03/28
2013年03月:書籍「風の万里 黎明の空(下) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*03/28
2013年06月:書籍「アルスラーン戦記4 汗血公路」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*06/12
2013年06月:書籍「丕緒の鳥 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*06/26
2013年09月:グッズ「新潮文庫『十ニ国記』プレゼント企画 暑中見舞い(2013)」(景王陽子)(新潮社)*09/11頃
2013年09月:書籍「図南の翼 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*09/28
2013年12月:書籍「アルスラーン戦記5 征馬孤影」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*12/05
2013年12月:書籍「華胥の幽夢 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*12/25
【2014年(平成26年)】
2014年03月:書籍「黄昏の岸 暁の天 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*03/28
2014年06月:書籍「アルスラーン戦記6 風塵乱舞」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*06/12
2014年07月:単行本『ラストコンチネント 上』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*07/24
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2014年07月:画集『十ニ国記画集《第一集》久遠の庭』(新潮社)*07/30
(** 姫路原画展カットアウトパネルの陽子が装画)
2014年08月:イベント「十ニ国記画集刊行記念『山田章博展』Exhibition&Cafe」(東京・青山「GoFa」)*08/02~08/31
(** 原画展示あり/「久遠の庭」刊行記念企画/「1st.Stage」08/02~08/17と「2nd.Stage」08/20~08/31で展示替え)
2014年09月:単行本『ラストコンチネント 下』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*09/24
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2014年10月:グッズ「十二国記カレンダー2015」(新潮社)*10/22
(** 姫路原画展カットアウトパネルの珠晶は1-2月の絵柄)
2014年11月:単行本『百花庭園の悲劇』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*11/21
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2014年12月:書籍「アルスラーン戦記7 王都奪還」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*12/05
【2015年(平成27年)】
2015年05月:単行本『夢の博物誌』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*05/07
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2015年06月:書籍「アルスラーン戦記8 仮面兵団」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*06/11
2015年07月:単行本『人魚變生』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*07/02
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2015年11月:Blu-ray「『十ニ国記』Blu-ray BOX」(NBCユニバーサル)*11/26
2015年12月:書籍「アルスラーン戦記9 旌旗流転」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*12/08
【2016年(平成28年)】
2016年01月:単行本『紅色魔術探偵団』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*01/23
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2016年05月:書籍「アルスラーン戦記10 妖雲群行」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*05/12
2016年05月:単行本『おぼろ探偵帖』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*05/24
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2016年07月:単行本『機巧亭茶館』(幻冬舎コミックス/バーズコミックススペシャル)*07/29
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2016年08月:書籍「アルスラーン戦記11 魔軍襲来」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*08/09
【2017年(平成29年)】
2017年04月:書籍「ダークタワーⅢ(上)」スティーヴン・キング/風間賢二 訳(KADOKAWA/角川文庫)*04/25
2017年04月:書籍「ダークタワーⅢ(下)」スティーヴン・キング/風間賢二 訳(KADOKAWA/角川文庫)*04/25
2017年05月:書籍「アルスラーン戦記12 暗黒神殿」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*05/11
2017年11月:書籍「アルスラーン戦記13 蛇王再臨」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*11/09
【2018年(平成30年)】
2018年07月:書籍「アルスラーン戦記14 天鳴地動」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*07/11
2018年12月:書籍「火狩りの王1 春ノ火」日向理恵子(ほるぷ出版/単行本)*12/17
【2019年(平成31年/令和元年)】
2019年05月:書籍「火狩りの王2 影ノ火」日向理恵子(ほるぷ出版/単行本)*05/29
2019年10月:書籍「白銀の墟 玄の月(一) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*10/12
2019年10月:書籍「白銀の墟 玄の月(二) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*10/12
2019年11月:書籍「白銀の墟 玄の月(三) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*11/09
2019年11月:書籍「白銀の墟 玄の月(四) 十ニ国記」小野不由美(新潮社/新潮文庫)*11/09
2019年11月:書籍「アルスラーン戦記15 戦旗不倒」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*11/12
2019年11月:書籍「火狩りの王3 牙ノ火」日向理恵子(ほるぷ出版/単行本)*11/12
2019年12月:Digital 「『十ニ国記』の日(2019)」(雪見楽俊/子年年賀)*12/12
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2020年代
【2020年(令和2年)】
2020年06月:書籍「小公子」バーネット/川端康成 訳(新潮社/新潮文庫)*06/24
(◇Mostra di illustrazioni:装画)
2020年08月:書籍「アルスラーン戦記16 天涯無限」田中芳樹(光文社/光文社文庫)*08/06
2020年09月:書籍「火狩りの王4 星ノ火」日向理恵子(ほるぷ出版/単行本)*09/03
(◇Mostra di illustrazioni:装画+裏表紙)
【2021年(令和3年)】
2021年02月:グッズ「十二国記カレンダー2021」(新潮社)*02/05
2021年09月:イベント「十ニ国記30周年記念フェア」(全国書店店頭)*09/25~1年間
2021年09月:Digital LINEスタンプ「『十ニ国記』ちびキャラ大集合」*09/25
2021年12月:Digital 「『十ニ国記』の日(2021)」(泰麒・計都・羅喉)*12/12
【2022年(令和4年)】
2022年05月:雑誌「芸術新潮」2022年6月号(特集「『十ニ国記』絵師 山田章博の世界」掲載)*05/25
(**「小野不由美への十問十答」収録/「おぼろ探偵帖」の話題はこちら)
(*** Youtube掲載の動画「表紙作画風景」は、この号の雑誌表紙絵の制作ドキュメント)
2022年08月:書籍「『十二国記』30周年記念ガイドブック」(新潮社)*08/25
2022年09月:イベント「『十ニ国記』山田章博原画展(2022)」(岡山「丸善 岡山シンフォニービル店」)*09/14~09/19
(** 原画展示あり/「青陽の曲」刊行記念企画/その後、東京(神楽坂)・京都に巡回)
2022年09月:画集『十ニ国記画集《第二集》青陽の曲』(新潮社)*09/15
(** 小野不由美「指針」収録/「百花庭園の悲劇」の話題はこちら)
【2023年(令和5年)】
2023年01月:イベント「『十ニ国記』山田章博原画展(2023)」(宮城 石巻市「石ノ森萬画館」)*01/21~04/09
(** 原画展示あり/石ノ森萬画館の独自企画)
2023年12月:書籍「『十二国記』絵師 山田章博の世界」(新潮社)*12/12
(**「芸術新潮」特集記事の書籍化。記事増補あり)
【2024年(令和6年)】
2024年03月:画集『「十ニ国記」アニメ設定画集』(新潮社)*03/15
2024年03月:イベント「『十ニ国記』山田章博原画展(2024)」(東京「丸善 丸の内本店」)*03/20~03/26
(** 原画展示あり/「アニメ設定画集」刊行記念企画/その後、福岡・大阪・京都・名古屋・岡山・仙台に巡回)
【2025年(令和7年)】
2025年09月:イベント「『十ニ国記』山田章博原画展(2025)」(兵庫「姫路文学館」)*09/27~12/14
(** 原画展示あり/姫路文学館の独自企画)
2025年11月:色紙「『十ニ国記』山田章博原画展(2025)展覧会開催・イベント出演 記念色紙」*11/2
(** 姫路原画展エントランスのウェルカム楽俊)
2025年12月:ミュージカル「十ニ国記 -月の影 影の海-」(東京「日生劇場」)*12/09~12/29
(** その後、福岡・大阪・名古屋に巡回)
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■ 関連サイト
この口上のタネは、1998年から四半世以上にわたって山田章博作品研究を展開してきた、砥部粧さん運営のファンサイト「山田章博 作品目録」にあります。いわゆる作品目録から、詳細を究める一枚一枚の絵の注釈まで、ほかではちょっとお目にかかれない豊富な資料が用意されていますので、山田作品研究を志す皆様は、ぜひ一度ご訪問いただけますよう。
「山田章博 作品目録」
また、下記の2つの施設には、本稿でも参照しているとても貴重な初期の山田章博先生関係の資料が収められています。機会がありましたら、ぜひご訪問くださいませ。
「大阪府立国際児童文学館」
(* 「ZOO」Vol.3~FINISH、「ODIN」6号などを所蔵)
「横山隆一記念 まんが館」
(* 「ZOO」Vol.2~FINISH、「乱葉」2号、「えけれしゃ」Vol.1、「天空人讃揚」などを所蔵)
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